僕たちが食品を買う際に、誰もが気になる賞味期限や消費期限。
品質を保証する期間として設けられている期間ですが、どうやって決まってるかご存知ですか?
またこれらを制定するうえで、たくさんの「食品ロス」が起きていることも私達消費者は知っておかなければなりません。
そこで今回は、社会的に問題になっている食品廃棄の問題に関して、それと関連する「三分の一ルール」について解説していきたいと思います。
食品ロスの基礎知識
そもそも「食品ロス」とは、どのようなことを意味するのでしょうか?
食品ロス(しょくひんロス)、食料ロス(しょくりょうロス)、またはフードロス(Food loss)とは、売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来は食べることができたはずの食品が廃棄されること。食品の廃棄や損失の原因は多様で、生産、加工、小売、消費の各段階で発生する。賞味期限の表示が「日」まであると無駄な廃棄を招くので、「年月」だけにする取り組みが飲料や加工食品に広がり始めている。
このように、本来は食べられる状態であるにも関わらず、食品が廃棄されることを「食品ロス」と言います。
主な食品廃棄物
- 加工食品の売れ残り
- 家庭の食べ残し
- 飲食店の食べ残し
- 期限切れの食品
- 製造過程で発生する規格外品
世界全体での食品ロスの数量は13億トンにも及び、生産量の三分の一~二分の一を捨てている計算になります。
その一方、2019年時点で後進国や途上国における、飢えに苦しむ人の数が約6億9,000万人。
つまり先進国では、多くの食品が生産されているのに半分近くが廃棄されており、途上国においては食品の生産・流通がスムーズに行われない為、飢餓が深刻な状態にあるということ。
このような不均衡さが世界的な問題として議論されるようになり、各国の機関が食品ロスの対策に乗り出したんですね。
日本の食品ロス問題の現状
引用元:EARTH.ORG
そもそも日本の食品ロス事情に関してどこまでご存知ですか?
上記のグラフは2017年のデータを元に作られた物ですが、TOP10は以下のようになっています。
- オーストラリア
- アメリカ
- トルコ
- スペイン
- 日本
- ドイツ
- メキシコ
- イタリア
- モロッコ
- ポルトガル
他にも農林水産省が発表した2019年の資料によると、日本人の一人当たりの年間食品廃棄物量は世界で第6位、アジアではダントツ1位になっています。
もちろん他国と比べて人口が多いので、廃棄物量が多くなるのは当たり前ですが、1年間で600万トン以上(東京ドーム約5杯分)もの食料を無駄にしていることは事実として受け止めなければなりません。
また国内の食料自給率は38%に対し、輸入品が68%を占めている訳ですから、輸送にかかるコストを無駄にしていることはもちろん、自給率の更なる低下を促す可能性も危惧されています。
つまり日本は、世界でもトップレベルの食品ロス大国でありながら、食料自給率が低過ぎる為、食糧不足へのリスクが最も高い国の一つなのです。
食品ロスが起きる原因
食品ロスが起きる原因は、先進国と途上国で全く異なります。なので両方の事情を踏まえたうえで、正しい対策を考えていかなければなりません。
先進国の問題
先進国における食品ロスの主な原因は下記の通りです。
- 過剰生産
- 規定に適さない食品の廃棄
- リサイクルにコストがかかる
- 品数の増やし過ぎ
- 消費者の無駄な買い物
まず第一に、消費以上の過剰生産が当たり前になっていること。
次に加工の段階で「外観品質基準」の審査に通らない物(サイズ・色味等)はリサイクル、もしくは廃棄することになるのですが、この工程に手間がかかること、そしてコストがかかることから、実際はほとんど捨てているのが現状です。
このように食品に対する厳しい規定や、幅広い品数を揃えて大量陳列をした結果、食品ロスを作り出す原因になってしまったんですね。
途上国の問題
途上国の食品ロスの原因は、先程の先進国とは全く異なります。
- 収穫に必要なインフラが整っていない
- 保存設備や加工設備の不足
- 輸送手段が整っていない
- 衛生的な環境が整備されていない
途上国の場合は、まずインフラが整っていないことや、衛生的な環境での保管、品質の維持が難しいことが挙げられます。
つまり儲けが大きい先進国にはたくさんのお金が集まる為、生産者側も流通量を増やし、その代わり途上国への整備にかけるコストは後回しになってしまっていることが原因なのです。
食品ロス問題による私達への影響
食品ロス問題を放置することによって、どのような問題が私達の生活に降りかかってくるのでしょうか。
大きく3つのテーマに絞って解説していきましょう。
環境破壊
食品を廃棄する主な方法は、「焼却処分」と「埋め立て」に分けられ、世界のほとんどの国では「埋め立て」が主流です。
生ごみは有機質なので環境への影響は少ないと思われがちですが、実は大量のメタンガスを放出し、二酸化炭素による温暖化や気候変動の原因になっていると言われています。
また焼却に関しても、生ゴミの水分が多いことからエネルギー資源の無駄遣いになっており、同じく二酸化炭素による環境への影響が懸念されています。
経済的な損失
食品ロスは経済の損失にも大きく関わっており、生産・流通・廃棄に多大なるコストがかかっている為、エネルギー・労働力・お金を無駄に消費してしまいます。
その結果、企業の利益率を低下させ、そこに関わる生産者・労働者の人件費削減、更に加速すると経済全体にも影響を与えることが危惧されています。
食糧不足
気候変動による影響が年々増しており、今後の課題として食料の安定供給が難しくなると言われています。
また経済成長と共に人口も爆発的に増加することが見込まれている為、このまま無駄な食品ロスを続けると、食料が枯渇していき、深刻な食糧不足が起きると予測されています。
三分の一ルールが食品ロスの大きな原因
そもそも、賞味期限と消費期限について正しい知識をお持ちでしょうか。
~賞味期限~
賞味期限(しょうみきげん)とは、劣化が比較的遅い食料品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限を示す日時である。
この表現の期限は、衛生面による問題よりも品質を問う部分に依存するため、主に長期間衛生的に保存できる加工食品に用いられる。
~消費期限~
消費期限(しょうひきげん)とは、次の2種ある。
1、食品の消費期限:製造者が定めた、ある保存方法で概ね5日間経つと品質劣化する長期間保存できない食品の食用可能期限。
2、食品以外の消費期限:化学変化を利用したり、あるいは時間の経過によって想定していない化学変化の発生する工業製品に製造者が定めた期限。
日本にはこのような決まりがある為、コンビニやスーパーなどに新鮮な食品が供給できている訳ですが、まさにこの制度があるから食品ロスが無くならないと言っても過言ではありません。
ここで重要なキーワードが「三分の一ルール」と言われるものです。
食品流通業界の商慣習で、食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「納入期限は、製造日から3分の1の時点まで」「販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」を限度とするもの。
これは法律ではなく、食品メーカー・卸売業者・スーパーなどの間で決められた商習慣で、賞味期限を3で割り、納品から消費者に届くまでの期間を制定した取り決めです。
例えば賞味期限が3週間のお菓子の場合、
- 最初の1週間以内に納品
- 次の1週間で店頭に並べる
- 最後の1週間で消費者が食べる
このような流れになっています。
しかし、もし最初の1週間以内に納品できず、1日でも過ぎた場合はメーカーに返品されることになっていて、しかもその多くが廃棄されてしまうのです。(※激安スーパーで販売されることもあります)
つまり本来の賞味期限よりも手前の段階で、捨てられている食品がたくさん存在しているということ。
これら一連の仕組みを緩和する為に、大手スーパーなどが課題に取り組んでいますが、まだまだ実社会に落とし込めていないのが現状です。
食品ロスを無くす為に私達がやるべきこと
食品ロスを無くす為には、企業や国が対策を考える必要がありますが、私達消費者にもできることはたくさんあります。
日々の積み重ねが環境を守ることに繋がるので、ぜひ今日から少しずつ意識してみてくださいね♪
賞味期限を気にし過ぎない
消費期限は「安全に食べる期間」に対し、賞味期限は「美味しく食べる期間」である為、無闇やたらに賞味期限を気にする必要はないです。
例えばスーパーに行って、新鮮な方が良いからと奥に置いてある物をカゴに入れる人がいますが、あまりメリットはありません。
先ほど説明した通り、スーパーや小売店側も店頭に並べる期間を把握している為、新鮮さや品質に大きな差は無いんですね。
なので手間に置いてある物から順番に買うようにしてください。
必要な物を必要な時に購入する
無駄な買い物を減らすことも食品ロス対策に効果的です。
買い物リストを作ることはもちろん、余計な物を買わない、ある程度の食料が無くなった時点で買い物に出かけるなど、日常的に無駄遣いをしていないか見直してみましょう。
作り過ぎないように少なめに調理する
一般家庭でありがちなのが、食べる量を考えずに作り過ぎてしまい、その結果、捨てることになるケースです。
料理の作り過ぎは誰でもある話なので、量の調節、レシピの確認、または通常よりも少なめに作ると残さずに食べ切ることができます。
また食べ過ぎは病気や肥満と密接に関わっている為、少食の方が何かとメリットが多いです。
保管の仕方(並べ方)に気をつける
冷蔵庫や棚に保管する時には必ず賞味期限(消費期限)を確認し、期限が長い物を奥に、短い物を手前に並べるようにしましょう。
また賞味期限が短い物に関しては、ご自身が見える位置に「先に食べるリスト」を書いて貼っておくのもおすすめです。
まとめ
日本は、品質の高いご飯がいつでも食べることができる食文化が豊かな国です。
しかしそれだけの安全性を確保するのに、たくさんの食品を無駄にしていることも忘れてはいけません。
これは巨大な産業の一つである飲食業界を引っ張る企業側にも問題があると思います。
便利な世の中にする為、ビジネスの為に大量生産してきた結果、「食品ロス」という問題が発生した訳ですから、今後は無駄にしない生産が課題になってくるでしょう。
ただ、それ以上に問題なのが我々消費者です。
いつでもどこでも食べ物が買えることから、食に対する価値が薄れていて、食べ残しをする、すぐに捨てる、無駄に食べ過ぎることを私達は繰り返してきました。
そのツケが食糧不足問題や環境破壊という重大な問題として、私達に降りかかってきているんです。
なのでこれからは自分の満足だけで判断するのではなく、この地球を守る為に一人一人の意識を変えることから始める必要があると思います。
ぜひ今回の記事を参考にして頂き、「食品ロス」という全世界共通の課題として、少しずつ取り組んでいきましょう。
では読んで頂きありがとうございました。
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